初盆の挨拶状

初盆(はつぼん)とは、故人が他界して四十九日を終えたあと、はじめて迎えるお盆のことです。初盆に関しては、挨拶状を送る場面が少なくありません。

今回は、初盆にまつわる挨拶状の文例を紹介するとともに、挨拶状を作成する際のポイントについても解説します。

初盆とは

初盆とは「はつぼん」と読み、故人が亡くなって四十九日を終えたあと、初めて迎えるお盆のことです。地域によっては「新盆(「にいぼん」や「しんぼん」など)」と呼ぶこともありますが、いずれも同じ行事を意味します。

お盆とは、故人の魂がこの世に戻ってくる期間です。日本ではこの時期に、故人の魂を自宅にお迎えして供養するという風習があります。

中でも、初盆は亡くなってからはじめて故人の魂が自宅に戻る期間です。そのため、親族などが集まって会食をするなどして、法要を行うことが通例とされています。

なお、故人の亡くなった時期によっては、初盆の時期が四十九日と重なってしまう場合もあるでしょう。この場合には、次の2つのパターンが考えられます。

  • 四十九日法要と初盆法要を併せて行う
  • 初盆法要は翌年に行う

いずれとするのかはその地域の風習や菩提寺によって異なる場合がありますので、あらかじめ菩提寺や他の親族などと相談して決めると良いでしょう。

初盆の挨拶状とは

初盆では、挨拶状を送る場面が多く発生します。初盆にまつわる主な挨拶状は、次のとおりです。

初盆の案内状

初盆の案内状とは、初盆の日時を知らせる案内状です。初盆に参列して欲しい相手に対して、遅くとも法要の1ヶ月前までには送りましょう。ギリギリになってから送れば、相手を慌てさせてしまうことになりかねません。

初盆は自宅で行う場合もあれば、お寺やホテル、法要会館で行う場合などさまざまです。

どこで営むのかが分かるよう、法要の日時や会場の場所などを明記してください。特に、自宅以外で行う場合には相手が迷ってしまうことのないよう、簡単な道案内を記載したり地図を添えたりすると丁寧です。

初盆を家族のみで行う旨の挨拶状

最近では、初盆を大々的に行わず、非常に近しい間柄の家族のみで行う場合も増えています。また、新型コロナによる影響を考慮して、家族のみでの初盆とする場合もあるでしょう。

しかし、そのことを知らなければ初盆に参列するつもりで予定を空けている親族に迷惑をかけてしまったり、お盆の時期に突然来訪される可能性があったりと、さまざまな不都合が生じかねません。

そのため、初盆を家族のみで行う場合には、あらかじめその旨を挨拶状で知らせておくべきでしょう。初盆を家族のみで行う挨拶状は、初盆時期の1ヶ月程度前までに、葬儀などへ参列してくれた親族などに対して送ります。

初盆のお礼状

初盆のお礼状とは、初盆に参列してくれた相手に対して感謝を伝えるお礼状です。初盆のお礼状は、初盆を終えた後すみやかに送付しましょう。

初盆を済ませたことを知らせる挨拶状

初盆には参列できなかったものの香典や供花などを送ってくれた相手には、初盆を無事に済ませたことを知らせる挨拶状を送りましょう。

お返しを送る場合には、お返しの品に挨拶状を添えて送る場合もあります。

初盆の案内状の文例

ここからは、初盆にまつわる挨拶状の文例をそれぞれ紹介します。まずは、初盆の案内状を2つ見ていきましょう。

初盆を自宅で営む場合の案内状

初盆を自宅で営む場合の案内状文例は、次のとおりです。

謹啓 盛夏の侯  皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます

さて 亡父 太郎 の初盆供養を 左記日程にて営みたいと存じます

お暑い中御足労いただき恐縮ですが 御臨席賜りますようご案内申し上げます 謹 白

記

日時 令和〇年〇月〇日(〇曜日)午前〇時より

場所 自宅

住所 〇〇県〇〇市〇〇1丁目1番地1号

電話 〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇

なお 法要後に供養の粗宴をご用意致しております

お手数ではございますが〇月〇日までにご都合のほどご返信くださいますようお願い申し上げます

挨拶状には、初盆に来てもらいたいことを記載するとともに、日時や場所を明記しましょう。また、食事の用意などの関係上、出席できるかどうか返信を求めておくことをおすすめします。

なお、画面の都合上横書きとしていますが、本来は縦書きで作成することが一般的です。そのため「左記」としていますが、仮に横書きで案内状を作成する場合には、「下記」としてください。

初盆を法要会館などで営む場合の案内状

初盆を自宅ではなく、法要会館などで営む場合の案内状文例は、次のとおりです。

謹啓 盛夏の候 皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます

さて 亡父 太郎 の初盆供養を 左記日程にて営みたいと存じます

御多用のところ誠に恐れ入りますが 何卒ご臨席賜りますようご案内申し上げます 謹 白

記

日時 令和〇年〇月〇日(〇曜日)午前〇時より

場所 〇〇会館(JR〇〇駅 西出口より徒歩〇分)

住所 〇〇県〇〇市〇〇1丁目1番地1号

電話 〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇

なお法要後 同所にて供養の粗宴をご用意いたしております

お手数ではございますが〇月〇日までにご都合のほどご返信くださいますようお願い申し上げます

初盆法要を自宅以外で営む場合には、参列者が迷うことのないよう「〇〇駅徒歩〇分」など簡単な道案内も記載すると親切です。併せて、簡単な地図を同封すると良いでしょう。

初盆を家族のみで行う旨の挨拶状の文例

初盆を家族のみで行う場合の挨拶状の文例は、次のとおりです。ここでは、昨今の情勢を踏まえた旨を記載するものと、一般的な内容のものを2つ紹介します。

一般的な内容のもの

特に理由には触れず、初盆を家族のみで行うことを知らせる挨拶状の例文は、次のとおりです。

謹啓 盛夏の候 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます

さて 早いものでまもなく 母 花子の初盆を迎えます 

本来であれば皆様に御臨席賜り初盆法要を営むところではございますが

甚だ勝手ながらこのたびの法要につきましては家族のみでささやかに営みたいと存じます

誠に恐縮ではございますが ご理解賜りますようお願い申し上げます 

皆様に賜りました御厚情に心より感謝申し上げますとともに 改めてお詫びを申し上げます

末筆ではございますが皆様の御健勝をお祈り申し上げます 謹 白

初盆を家族のみで営みたい場合には、その旨を丁寧に記載した挨拶状を送りましょう。なお、香典や供花も辞退する場合には、「なお 御香典及び御供花などにつきましても御辞退させていただきたく存じます」などの文言を記載します。

昨今の情勢に触れるのもの

新型コロナは下火になりつつあるとはいえ、高齢の方が集まることの多い初盆では、引き続き気が抜けないことでしょう。コロナ禍であることを理由に、初盆を家族のみで営む場合もあります。その場合における文例は、次のとおりです。

謹啓  盛夏の候 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます

さて 早いものでまもなく 母 花子の初盆を迎えます 

本来であれば皆様に御臨席賜り初盆法要を営むところではございますが

昨今の状況を考慮し 家族のみで執り行わせていただきたく存じます

甚だ勝手と存じますが ご理解賜りますようお願い申し上げます

なお 御香典及び御供花などにつきましても御辞退させていただきたく存じます

皆様に賜りました御厚情に深謝いたしますとともに

略儀ながら書中にて御報告と御挨拶を申し上げます    謹 白

「昨今の状況を考慮し」とした部分は、「コロナ禍である状況を鑑み」などより具体的な表現としても構いません。

初盆のお礼状の文例

初盆に参列してくれた相手に対し、香典などへのお返しの品とともにお礼を伝える挨拶状の例文は、次のとおりです。

謹啓  時下ますます御清祥のこととお慶び申し上げます

このたび  亡 父 太郎初盆に際しましては 御多用中にもかかわらずお集まり頂き 御鄭重なる御厚志を賜り 厚く御礼申し上げます 

つきましては 初盆供養のしるしとして心ばかりの品をご用意いたしました

ささやかではございますが何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます

略儀ではございますが 書中をもちまして謹んで御挨拶申し上げます 謹 白

なお、「御厚志」とは親切な心遣いのころを指しますが、香典や供花など「親切な心遣いから贈ってくれた金品」のことを指す表現としてしばしば用いられます。

初盆を済ませたことを知らせる挨拶状文例

初盆には参列できなかったものの香典や供花を送ってくれた相手には、お返しの品とともに、無事に初盆を済ませた旨を報告する挨拶状を送ります。この場合の文例は次のとおりです。

謹啓 晩夏の候 皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます

このたびは 亡母 花子 初盆に際しまして御鄭重なる御厚志を賜り 厚く御礼申し上げます

お陰をもちまして 初盆法要を滞りなく相済ませることができました

つきましては初盆供養のしるしとして 心ばかりの品をご用意させていただきましたので

何卒御受納賜りたくお願い申し上げます

本来であれば拝眉のうえ御礼を申し上げるべきところではございますが

略儀ながら書中をもちまして謹んで御報告と御挨拶を申し上げます 謹 白

香典などに対するお礼を記載するとともに、初盆法要が無事に済んだことの報告を行いましょう。

初盆の挨拶状を送る場合のポイント

初盆の挨拶状を送る際には、基本のマナーを押さえておきましょう。押さえておくべき主なポイントは次のとおりです。

ポイント

・句読点は使用しない
・縦書きで記載する
・頭語と結語を記載する

句読点は使用しない

挨拶状では、句読点を使用しないのが基本のマナーとされています。

これは、句読点がもともと幼い子どもが文章を読みやすくするために使用され始めたものであるところ、挨拶状に句読点を使用することで、相手を子ども扱いしていると捉えられかねないためです。また、句読点文章を区切る意味合いを持つことから、縁起がよくないためとの考え方もあります。

最近では、比較的カジュアルな場面で送る挨拶状を中心に、句読点を使用するケースも増えてきました。しかし、初盆など目上の相手に対して送る正式な挨拶状では、今も句読点を使用することはさほど多くありません。

そのため、原則として句読点を使用しないものと考えておくと良いでしょう。

縦書きで記載する

挨拶状は、縦書きで作成をするのが基本のマナーです。最近では横書きで挨拶状を作成するケースが増えているものの、初盆の挨拶状など正式な挨拶状では、縦書きとした方が良いでしょう。

頭語と結語を記載する

挨拶状はいきなり本文から書き始めるのではなく、頭語から書き始め、結語で締めましょう。

頭語にはさまざまな種類が存在しますが、初盆の挨拶状では「拝啓」もしくは「謹啓」を使用すれば問題ありません。「謹啓」の方がより丁寧で目上の相手へ送る際に適していることから、例文では「謹啓」を使用しています。

また、結語は、使用した頭語によって使用できる表現が決まります。主な組み合わせは、次のとおりです。

  • 頭語が「拝啓」の場合:「敬具」や「敬白」など
  • 頭語が「謹啓」の場合:「謹言」や「謹白」など

組み合わせを誤るとちぐはぐな印象となってしまうため、基本の組み合わせを覚えておくと良いでしょう。

まとめ

初盆では、挨拶状を送る場面が多く登場します。相手に失礼のないよう、適切なタイミングで適切な挨拶状を送りましょう。

しかし、挨拶状の文面を一から組み立てることは、挨拶状の作成に慣れていないと容易ではありません。そのような際には、テンプレートの活用がおすすめです。

当サイト「挨拶状印刷.jp」では、初盆にまつわる挨拶状のテンプレートを数多くご用意しております。文面の変更も可能ですので、オリジナルの挨拶状を簡単に作成していただけます。 初盆の挨拶状でお困りの際には、ぜひ挨拶状印刷.jpをご利用ください。