挨拶状のフォントサイズ

挨拶状をパソコンなどで作成する場合、フォントのサイズはどのくらいが望ましいのでしょうか?また、使用するフォントは何を選択すれば良いのでしょうか?

今回は、挨拶状に適したフォントの選択や文字の大きさ、その他挨拶状を送る際に注意したい基本マナーなどについてくわしく解説します。

挨拶状とは

挨拶状とは、相手に対して挨拶をする書状です。

挨拶状には年賀状や暑中見舞いなど季節に合わせて相手の近況を伺うものの他、社長交代の挨拶状や転勤の挨拶状などこちらの近況を伝えるもの、お礼状や香典返しの挨拶状など相手からいただいた厚意に対してお礼を伝えるものなどさまざまなものが存在します。

最近では、EメールやSNSなど便利な通信手段が発達しているため、単に事実を伝えるのみであれば、これらのツールでこと足りるでしょう。しかし、あえて書面で挨拶状を送ることで、より相手への敬意や大切に想う気持ちなどを伝えることが可能となります。

特にビジネスの場においては今も挨拶状が頻繁に活用されており、適切なタイミングで丁寧な挨拶状を送ることは、ビジネスマナーの一つであるといえるでしょう。

挨拶状は印刷で作成しても良い?

挨拶状は、そもそも手書きではなく印刷で作成しても問題ないのでしょうか?

挨拶状は印刷で作成しても問題ない

挨拶状は、原則として印刷で作成しても問題ありません。特に、多くの相手に同じ文面での挨拶状を送る場面では、印刷で作成することが主流になっているといえるでしょう。1通1通を手書きしていては、多大な時間を要してしまうためです。

そのうえで、あえて気持ちを伝えたい場合などには、印刷した文面にひとことメッセージを手書きで添える場合もあります。

手書きでの挨拶状作成が望ましい場合

挨拶状は印刷で作成しても問題ありませんが、次の場合には手書きで作成した方が良いでしょう。

手書きが望ましいケース

個人的にお詫びをする挨拶状:こちらに不手際があり謝罪をする際の挨拶状です。ただし、企業が消費者に対してお詫びする場合など謝罪の相手が多数に渡る場合には印刷で作成しても差し支えありません。
個人的に頼みごとをしたお礼の挨拶状:紹介してほしい相手に引き合わせてもらった場合など、個別でしたお願いごとを叶えてくれた相手にお礼を伝える挨拶状です。
個人的な場面で送る挨拶状:相手の両親に結婚の挨拶をした後で送る挨拶状など、個人的にお礼を伝える挨拶状です。

そもそも、これらの挨拶状は、同じ文面で複数人に対して送るようなものではありません。1通1通内容が異なるようなものは、手書きが望ましいと考えておくと良いでしょう。

挨拶状に適したフォント

挨拶状をパソコンなどで作成する場合、どのようなフォントを選択すれば良いのでしょうか?挨拶状に適したフォントとそれぞれのフォントの特徴は次のとおりです。

楷書体

楷書体とは、比較的手書きの文字に近いフォントです。重厚感があり丁寧な印象となるため、弔事などの場面を含め、比較的フォーマルな場面で送る挨拶状に適したフォントであるといえるでしょう。

明朝体

明朝体とは、印刷物においてよく使用され、読みやすいフォントであるといえるでしょう。送る場面を問わず、明朝体は挨拶状でよく使用されるフォントの一つです。

ゴシック体

ゴシック体とは、視認性の高いフォントであり、ホームページなどインターネット上の文字のほか、看板の文字などでよく使用されます。

比較的カジュアルな場面で送る挨拶状を中心に、よく使用されるフォントの一つです。一方、手書き文字とは遠い印象でありあまり重厚感がないため、弔事などの場面で送る挨拶状には向きません。

挨拶状のフォントサイズはどのくらい?

挨拶状で使用するフォントのサイズは、どのくらいが最適なのでしょうか?

挨拶状で使うフォントサイズに絶対的な正解があるわけではありません。ただし、一般的には次のフォントサイズを目安にすると、バランスのよい挨拶状が作成しやすいでしょう。

本文のフォントサイズ

挨拶状の本文で使用するフォントサイズは、10ポイントから10.5ポイント程度がおすすめです。これより小さいと、文字が読みづらくなってしまうでしょう。

差出人名のフォントサイズ

挨拶状の本文と同じ面に記載をする差出人名は、本文より少し大きく、11ポイント程度で記載するとバランスが取りやすくなります。

バランスのよい挨拶状を作るポイント

フォントサイズの他、バランスの良い挨拶状を作成するポイントは、次のとおりです。

文字の分量に合った形式を選択する

挨拶状を作成する用紙は、文字の分量に合ったものを選択しましょう。挨拶状のサイズを誤ると、読みづらくなってしまうためです。

挨拶状はハガキのままで送る場合もあれば、2つ折りカード型の用紙や3つ折りカード型の用紙などに印刷したうえで封筒に入れて送る場合など、さまざまなケースが存在します。

たとえば、式典の案内をともなう挨拶状などでは、会場の案内や日時の連絡などを含めると、挨拶状に書くべき項目が多くなる傾向にあります。そのため、これを無理にハガキサイズに収めようとすると、文字の間隔が詰まったりフォントサイズを小さくせざるを得なくなったりして、読みづらくなってしまうでしょう。

書くべき分量に合った用紙を選択することで、読みやすい挨拶状となります。

縦書きの場合には漢数字を使用する

挨拶状を縦書きで作成する場合には、数字は漢数字とすることが基本です。そのうえで、たとえば「21日」と書く場合には「二一日」ではなく、「二十一日」など「十」を入れて記載するようにすると読みやすくなります。

「さて私こと」は端に寄せる

挨拶状では、時候の挨拶など前文のあとに、「さて 私儀」や「さて 私こと」などと記載してから本題に入るケースがよくあります。この場合の、「さて 私こと」などは、端に寄せて記載することが通例とされています。

端に寄せるとは、たとえば横書きの場合には次のように、用紙の右端に寄せて書くということです。

「拝啓 初秋の候 貴社ますます御隆盛のこととお慶び申し上げます 
                         さて 私こと
このたび大阪支社勤務を命ぜられ 無事着任いたしました
(以下略)」

同様に、縦書きの場合には、「さて 私こと」は用紙の下に寄せて記載します。

記書きの人名には1文字ずつスペースを入れる

たとえば、役員就任の挨拶状などでは、記書きなどで人名を記載する場合があります。記書きとは、本文の後に「記」と記した後で、伝えたいことを箇条書きで記す箇所です。

記書きに人名を記載する場合には、「挨拶太郎」のように文字を詰めて記載するのではなく、「挨 拶 太 郎」などと1文字ごとにスペースを入れて印字すると、バランスが取りやすくなるでしょう。

結語は間にスペースを入れる

結語とは、「敬具」のように、本文の最後に記載する文章を締める表現です。この結語は、「敬 具」のように、間にスペースを入れると全体のバランスが取りやすくなるでしょう。

挨拶状作成時のその他のポイント

挨拶状には、さまざまなマナーが存在します。挨拶状を作成する際に注意すべき主なポイントは、次のとおりです。

適切なタイミングで送付する

挨拶状を送るには、場面ごとに適切なタイミングが存在します。たとえば、次の挨拶状を送る時期は、次のタイミングが適切であるとされています。

挨拶状を送る時期

・社長交代の挨拶状:就任後1週間以内
・開業の挨拶状:開業の2週間前まで
・事務所移転の挨拶状:移転の1ヶ月前まで
・転勤の挨拶状:転勤後2ヶ月以内
・退職の挨拶状:退職1ヶ月前までが望ましいが難しければ退職後すみやかに

送るべき時期から大きくズレてしまえば、失礼となりかねません。せっかく挨拶状を送るのであれば、適切な時期に送付しましょう。

適切な頭語と結語を記載する

挨拶状はいきなり本文から書き始めず、「拝啓」などの頭語から始めて「敬具」などの結語で締めることが基本とされています。頭語と結語のルールは、それぞれ次のとおりです。

頭語

頭語にはさまざまな種類があり、それぞれ次のように使い分けます。使用することの多い頭語は、次のとおりです。

結語と頭語の組み合わせ

・拝啓:もっとも基本となる頭語です
・謹啓:目上の人へ宛てた挨拶状やかしこまった場で送る挨拶状で使用します
・拝復:相手への返信である場合に使用します
・前略:親しい相手に送る場合などに使用します。この頭語を使った場合には、時候の挨拶は省略します

挨拶状においては、基本的には「拝啓」または「謹啓」を使用すると考えておけば、問題ないでしょう。

結語

使用することができる結語は、使用した頭語によって決まります。基本的な組み合わせは、次のとおりです。

結語と頭語の組み合わせ

・頭語が「拝啓」の場合:「敬具」「敬白」など
・頭語が「謹啓」の場合:「謹言」「謹白」など
・頭語が「拝復」の場合:「敬具」など
・頭語が「前略」の場合:「草々」など

こちらは、基本の組み合わせを覚えておくと良いでしょう。

季節に沿った時候の挨拶を入れる

挨拶状を送る際には、頭語の後に時候の挨拶と前文を記載してから本題に入りましょう。

時候の挨拶とは、「早春の候」や「薫風のみぎり」など、挨拶状に季節感を添える表現です。「候」と「みぎり」はいずれでも構いませんが、「みぎり」のほうが女性的で、柔らかな印象となります。

時候の挨拶で使える表現は季節ごとに異なっており、主な表現は次のとおりです。

相手の成功や健康などを願う文章

企業宛の場合:「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」、「貴社いよいよご隆昌のこととお慶び申し上げます」など
・個人宛の場合:「〇〇様におかれましては ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」、「皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」など

なお、季節を問わない表現として、「時下」も存在します。

挨拶状ではこれに加えて、相手の成功や健康などを願う文章を続けます。たとえば、次のような表現です。

時候の挨拶

・1月:新春の候
・2月:向春の候
・3月:春暖の候
・4月:陽春の候
・5月:薫風の候
・6月:梅雨の候
・7月:盛夏の候
・8月:残暑の候
・9月:初秋の候
・10月:菊花の候
・11月:晩秋の候
・12月:寒冷の候

「ご清栄」や「ご隆昌」は事業の反映や成功を意味する表現ですので、個人宛には適しません。個人宛の場合には、健康に過ごすことを意味する「ご健勝」や、幸せに過ごすことを意味する「ご清祥」などを使用することが多いでしょう。

句読点は使用しない

挨拶状では、句読点を使用しないことが基本とされています。その理由は、次のとおりです。

  • 挨拶状の伝統的な書式に句読点がそぐわないから
  • 句読点が文章を区切るものであるため、相手との「縁を切る」ことを連想させ縁起がよくないから
  • 句読点は子どもが文章を読みやすくなるように使用されはじめたものであり、句読点の使用は相手を子ども扱いしていることになるから

しかし、最近では読みやすさを重視して句読点を使用した挨拶状もさほど珍しくありません。そのため、比較的カジュアルな場面で送る挨拶状では、句読点を使用しても問題ないでしょう。

ただし、香典返しに添える挨拶状など弔事の場面では伝統が重んじられる傾向にあり、句読点を使用するケースは今もほとんど見かけません。また、年配の人の中には、挨拶状で句読点を使用することに違和感を持つ人も少なくないでしょう。

そのため、句読点を使用するかどうかは、挨拶状を送る場面や送る相手に応じて検討することをおすすめします。

適切な敬称を使用する

挨拶状を送る際には、適切な敬称を使用しましょう。挨拶状の宛名で使用する敬称は、原則として「様」「先生」「御中」の3種類です。それぞれ、次のように使い分けます。

「様」

「様」は、挨拶状の宛先が個人である場合に使用します。

「挨拶一郎様」など一般個人宛ての場合の他、「株式会社挨拶 代表取締役 挨拶一郎様」、「株式会社挨拶 総務部 部長 印刷花子様」など、企業内の特定の人へ送る場合にも「様」が適切です。

なお、役職名に「様」をつけることは適切ではありません。たとえば、「株式会社挨拶 挨拶一郎 社長様」や、「株式会社挨拶 総務部 印刷花子 部長様」というのは、いずれも誤った表現です。

また、挨拶状の宛名が夫婦など複数名である場合には、それぞれのお名前のあとに「様」を付けましょう。複数名のお名前の後ろにまとめて1つだけ「様」を付けるようなことは、適切ではありません。

「先生」

「先生」は、挨拶状の宛先が恩師や弁護士などの士業、医師などである場合に使用する敬称です。たとえば、「弁護士 挨拶太郎先生」、「〇〇病院 印刷良子先生」などのように使用します。

なお、「先生」は「様」の代わりに使用するものであり、「先生様」という表現は適切ではありません。

御中

「御中」は、挨拶状の宛先が団体である場合に使用します。たとえば、「株式会社挨拶 御中」や「株式会社挨拶 総務部 御中」などです

なお、個人名に「御中」をつけたり、「御中」と「様」を併用したりすることは適切ではありません。たとえば、「株式会社挨拶 総務部御中 印刷花子様」や「株式会社挨拶 代表取締役 挨拶一郎御中」などは、いずれも誤った表現です。

まとめ

挨拶状をパソコンなどで作成する場合、使用するフォントのサイズに明確な決まりがあるわけではありません。しかし、相手の読みやすさを重視するならば、本文のフォントは10ポイントから10.5ポイント程度にすることをおすすめします。

挨拶状を作成する際には、マナーを守ることはもちろんのこと、相手にとって読みやすいよう全体のバランスに配慮して作成すると良いでしょう。

しかし、自分でバランスの整った挨拶状を一から作成しようとすれば、多大な時間を要してしまいます。そこでご利用いただきたいのが、当サイト「挨拶状印刷.jp」のサービスです。

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