お中元の挨拶状

お中元を送る場合には品物のみを送るのではなく、挨拶状を同封したり別便で挨拶状を送ったりするとスマートです。では、お中元の挨拶状には、どのような内容を記載すれば良いのでしょうか?

今回は、お中元の挨拶状について解説するとともに、送り状や添え状の文例も紹介します。

お中元の挨拶状には2種類がある

お中元とは、お世話になっている相手に日ごろの感謝を伝えるためにする、贈り物のことです。お中元を送る時期は地域によって異なっており、おおむね次のとおりとされています。

お中元を送る時期

・北海道:7月中旬~8月15日
・関東・東北:7月初旬~7月15日
・東海・関西・中国・四国:7月中旬~8月15日
・九州:8月初旬~8月15日
・沖縄:旧暦の7月15日まで

お中元を送る際には品物のみを送るのではなく、挨拶状とともに送りましょう。お中元の挨拶状には「送り状」と「添え状」の2つがあり、それぞれ次のとおりです。

送り状

お中元の送り状とは、お中元とは別便で送る挨拶状です。送り状にはお中元を送ったこととともに、日頃の感謝などを記載します。

添え状よりも送り状の方が丁寧であるため、目上の人に送る場合には送り状とした方が良いでしょう。

添え状

お中元の添え状とは、お中元に同封して送る挨拶状です。こちらも、日頃の感謝やお中元を送る旨などを記載しましょう。

なお、添え状をお中元に同封する場合には封筒に入れても構いませんが、封筒の封をしてはなりません。なぜなら、郵便法の規定により原則として宅配便で信書を送ることはできないとされており、例外的に「貨物に添付する無封の添え状又は送り状」のみは同封が認められているためです。

これはマナーではなく法律の問題ですので、うっかり違反をしてしまわないように注意しましょう。

お中元の送り状はいつ送る?

お中元の挨拶状のうち、「添え状」は、お中元とともに送ります。一方、「送り状」は別便となりますが、いつ頃送るべきなのでしょうか?

お中元の送り状は、お中元が相手の元へ到着する数日前に届くように送るとスマートです。お中元が届くことを相手が先に知ることで、品物が届いた際にお中元であるとすぐに判断できます。

また、自身が不在とする場合であっても家族や従業員などとお中元が届く予定を共有することで、受け取りの対応などもしやすくなるでしょう。

なお、現在、普通郵便は土日祝日には配達されなくなっています。また、2021年10月以降、普通郵便のお届け予定日が、従来と比較して1日ほど遅くなりました。

送り状を発送する際には、この点も踏まえて早めに送るように注意しましょう。

お中元の挨拶状の基本の書き方

お中元の挨拶状の基本の構成は、次のとおりです。後ほど掲載する文例と照らし合わせながらご確認いただくと、よりイメージが湧きやすくなるでしょう。

頭語

頭語とは、挨拶状のはじめに記載するフレーズです。頭語にはさまざまなものがありますが、お中元の挨拶状で使う頭語は、主に次の2つです。

頭語

・「拝啓」:もっとも基本的な頭語です
・「謹啓」:目上の相手や、かしこまった場面で使用する頭語です

基本的には「拝啓」を使うこととしたうえで、相手により敬意を示したい場合などには「謹啓」を使用すると良いでしょう。

時候の挨拶

頭語に続いて、時候の挨拶を記載します。時候の挨拶には「盛夏の候」や「盛夏のみぎり」などとする漢語調のものと、「まぶしい日ざしに本格的な夏の到来を感じる今日この頃ですが」など口語調のものが存在します。

どちらであっても失礼ではありませんが、一般的にはビジネスシーンでは漢語調を、プライベートなど親しい相手には口語調とすることが多いでしょう。

お中元シーズンである7月や8月に使用できる時候の挨拶には、次のものなどが存在します。

時候の挨拶

・7月:盛夏、仲夏、小暑(上旬)、大暑(下旬)
・8月:晩夏、暮夏(いずれも立春まで)

相手の近況に配慮するフレーズ

時候のあいさつに続いて、相手の近況に配慮するフレーズを記載します。

送り先が個人であれば、健康を意味する「ご健勝」や幸せに暮らすことを意味する「ご清祥」などを使用することが一般的です。また、相手が法人などビジネスシーンにおいては、事業の成功や発展を意味する「ご清栄」や「ご隆盛」、「ご隆昌」などを使用します。

なお、頭語からここまでを「前文」といい、続けると次のようになります。

前文

・個人宛の場合:「謹啓 盛夏の候 〇〇様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます」
・法人宛の場合:「謹啓 小暑の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」

日頃のお礼など

本題ではまず、日頃のお礼などを記載しましょう。たとえば、「平素はひとかたならぬご厚情を賜り 厚く御礼申し上げます」などです。

お中元は日頃お世話になっている相手に、感謝の思いを込めて送るものです。そのため、日頃のお礼は必ず記載しましょう。

お中元を送る旨

お礼に続けて、お中元を送る旨を記載します。お中元の品とは別便で送る送り状の場合には、いつ頃届くのかがわかるよう、目安となる日付も記載しましょう。

たとえば、「つきましてはお中元のおしるしまでに 別便にて〇〇をお送りいたしました

〇日頃には届くかと存じますので ご笑納いただけますと幸いに存じます」などです。届く予定がわかることで、相手が心づもりをしやすくなるためです。

結びの挨拶

本文の最後に、結びの挨拶を記載します。ここでは、相手の健康を気遣う文言や、法人であれば成功を願う文言に加え、書中での挨拶を詫びる一文を添えると良いでしょう。

たとえば、「季節柄 くれぐれもご自愛のほどお祈り致します まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます」などです。また、「今後とも引き続きご支援ご厚情を賜りますよう宜しくお願い申し上げます」など、引き続きのお付き合いを願うフレーズを入れても良いでしょう。

結語

最後に、結語を記載します。使用できる結語は使用した頭語によって決まりますので、基本の組み合わせを覚えておくと良いでしょう。

使用できる結語は、それぞれ次のとおりです。

結語

・頭語が「拝啓」の場合:「敬具」、「敬白」、「かしこ」など
・頭語が「謹啓」の場合:「謹白」、「謹言」、「かしこ」など

なお、「かしこ」は女性がプライベートで送る場合に使用できる表現であり、ビジネスシーンで使用することは一般的ではありません。

お中元の挨拶状(送り状)文例

お中元の挨拶状(送り状)の文例は、次のとおりです。

目上の相手へ送る文例

お中元を目上の相手へ送る場合における送り状の文例は、次のとおりです。

謹啓 盛夏の候 〇〇様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます

平素はひとかたならぬご厚情を賜り 厚く御礼申し上げます

つきましてはお中元のおしるしまでに 別便にて〇〇をお送りいたしました

〇日頃には届くかと存じますので ご笑納いただけますと幸いに存じます

時節柄 どうかお身体の具合を崩されぬようご自愛くださいませ

日頃のご無沙汰のお詫びかたがたご挨拶にお伺いすべきところ失礼とは存じますが 

略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます  謹 白

丁寧な内容で、お中元を送ったことと、到着する目安の日にちを伝えましょう。なお、頭語と結語は「拝啓・敬具」でも構いませんが、目上の相手であれば「謹啓・謹白(謹言)」とした方が、より丁寧な印象となります。

取引先へ送る文例

お中元を取引先などに送る場合における送り状の文例は、次のとおりです。

謹啓 小暑の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます

平素は並々ならぬご指導とご厚情を賜り 厚く御礼申し上げます

つきましてはささやかではございますが謝意を表したく 心ばかりのお中元の品を別便にてお送りいたしました

〇日頃には届くかと存じますので ご笑納いただけますと幸いに存じます

末筆ではございますが 貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます

略儀ながら書中をもちまして お中元の御挨拶を申し上げます  謹 白

企業あてであれば、このように事業の発展や成功などを願う文言を記載すると良いでしょう。

親しい相手へ送る文例

親しい相手へお中元を送る場合における送り状の文例は、次のとおりです。

拝啓 いよいよ夏本番を迎えましたが 〇〇様をはじめご家族の皆様にはご健勝にお過ごしのこととお慶び申し上げます

平素は何かとお心遣い頂きまして 誠にありがとうございます

また久しくご無沙汰いたしまして申し訳ございません

日頃の感謝をお伝えしたく 心ばかりの品ではございますが別便にて〇〇をお送りいたしました

〇日頃には届くかと存じますので ご笑納いただけますと幸いです

暑い毎日が続きますが 夏風邪などひかれないようご自愛くださいませ  敬 具

お中元の送り状は、家族など他者の目に触れる可能性があります。そのため、親しい相手に送る場合であってもあまり砕けた内容とし過ぎないこともマナーです。

お中元の挨拶状(添え状)文例

お中元の挨拶状(添え状)の文例は、次のとおりです。なお、上でも解説をしたとおり添え状よりも送り状の方が丁寧な形ですので、添え状とする場合にはこの前提を知っておくと良いでしょう。

目上の相手への文例

目上の相手へお中元を送る場合における添え状の文例は、次のとおりです。

謹啓 盛夏のみぎり 〇〇様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます

平素はひとかたならぬご厚情を賜り 厚く御礼申し上げます

つきましてはささやかではございますが 謝意を表したくお中元をお送りいたします

心ばかりの品ではございますが 御笑納くだされば幸いです

時節柄 くれぐれもご自愛のほどお祈り致します

まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます  謹 白

添え状はお中元に同封するものですので、「〇日頃に届く」などの文言を入れないように注意しましょう。

取引先への文例

取引先へお中元を送る場合における添え状の文例は、次のとおりです。

謹啓 盛夏の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます

平素は格段のお引き立てを賜りまして 厚く御礼申し上げます

つきましては心ばかりの品ではございますが 日頃の御礼までにお中元の品をお送りいたしますので ご笑納いただけますと幸いに存じます

貴社のさらなるご発展ご繁栄を心よりお祈り申し上げますとともに

今後とも引き続きご支援ご厚情を賜りますよう宜しくお願い申し上げます

略儀ながら書中をもちましてお中元の御挨拶を申し上げます  謹 白

なお、お中元を取引先に持参する場合には、次の2点を変更してください。

  • 「お中元の品をお送りいたしますので」を、「お中元の品をお持ちしましたので」とする
  • 最後の「略儀ながら書中をもちましてお中元の御挨拶を申し上げます」を削除する

親しい相手への文例

親しい相手へお中元を送る場合における添え状の文例は、次のとおりです。

拝啓 まぶしい日ざしに本格的な夏の到来を感じる今日この頃ですが 〇〇様にはますますご健勝にお過ごしのこととお慶び申し上げます

平素は何かと気にかけてくださり ありがとうございます

久しくご無沙汰しておりまして誠に申し訳ございません

日頃の感謝の気持ちとして ささやかではございますがお中元の品をお送りいたしました

ご賞味いただければ幸いです

暑さ厳しき折柄 くれぐれもご自愛くださいませ   敬 具

親しい相手であったとしても、相手への感謝や敬意を示す内容を記載すると良いでしょう。

まとめ

お中元を送る際には品物のみを突然送るのではなく、挨拶状を添えることがマナーです。

お中元の挨拶状には、お中元とは別便で送付する「送り状」と、お中元に同封する「添え状」が存在します。大切な相手にお中元を送る際には失礼となってしまうことのないよう、送り状や添え状を活用しましょう。

しかし、ビジネスシーンなど多くの相手にお中元を送る際には、1通1通送り状を手配していては多大な時間を要してしまう場合もあることでしょう。そのような際には、当サイト「挨拶状印刷.jp」のご利用がおすすめです。

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